スマホの「カギ置き場」を守ろう今日できる安全設定ガイド
はじめに この資料でできること
この資料のとおりに進めると、スマホの「カギ置き場」に、今日のうちにしっかり鍵をかけられます。 1つ5分ほど。全部やっても30分くらいです。
このごろ、GoogleやApple(アイフォーン)の「アカウント」が他人に乗っ取られ、そこから証券口座(株や投資信託の口座)にまで入られたという事例が報告されています。2026年10月、SBI証券やSMBC日興証券といった大きな証券会社が、お客さんに注意をよびかけました。人気のお金のYouTubeチャンネルでも「今日これをやって」と、iPhoneとGoogleアカウントの設定が呼びかけられています。
この資料の読み方
- むずかしい言葉には、かっこで説明をつけています。
- 「やること」は5つだけです。上から順番に、1つずつやってください。
- わからないところは、そのまま飛ばしてかまいません。最後のチェックシートに印をつけて、あとでご家族やお孫さんに見てもらいましょう。
- 設定のしかたで迷ったら、ご契約の携帯電話のお店で聞くこともできます(証券会社ではGoogleやAppleの設定は教えてもらえません)。
何が起きているの?
ねらわれているのは証券会社ではなく、あなたのGoogleやAppleの「アカウント」です。 証券会社のシステムが破られたわけではありません。
最近は、証券口座に「パスキー」(顔や指紋でログインする、とても安全なカギ)が使われています。このカギは、GoogleやAppleのアカウントの中に保管されることがあります。つまりアカウントは「カギ置き場」です。カギ置き場に入られると、そこにあるメモなどを使って証券口座にも入られるおそれがある、と証券会社は説明しています。
乗っ取りは5つの段階で進む。途中で止められる
緑の4か所のどこか1つで止めれば、被害はそこで止まります。次から、その止め方を1つずつ説明します。
ことばの説明
- アカウント:GoogleやAppleを使うための「会員証」のようなもの。メールアドレスとパスワードでできています。
- 2段階認証(2ファクタ認証):パスワードに加えて、自分のスマホにとどく番号などで「本人かどうか」を2回たしかめるしくみ。
- フィッシング:本物そっくりのニセのメールやサイトで、パスワードをだまし取る手口。
今日やる5つのこと
やることは5つだけです。 どれも、証券会社やGoogle・Appleが公式にすすめている対策です。
- iPhoneの「盗難デバイスの保護」をオンiPhone:設定 → Face IDとパスコード
- Googleの「2段階認証」をオンGoogle:アカウント → セキュリティ
- もしもの時の連絡先を確かめる再設定用の電話番号とメール(Google・Apple)
- 知らない機器を追い出すログイン中の機器の一覧を見る(Google・Apple)
- メモのパスワードを消す・使い回さないメモアプリや写真に残っていないか
①はiPhoneを使っている方だけです。アンドロイドのスマホの方は②から始めてください。②〜④は、Gmailを使っている方(Googleアカウントがある方)は、iPhoneの方もぜひやってください。
始める前によういするもの
- いつも使っているスマホ
- スマホの「パスコード」(画面を開くときの数字)
- GoogleとAppleのパスワード(わからなければ、ご家族と一緒に)
- この資料の最後のチェックシート
やること① iPhoneの「盗難デバイスの保護」をオンにする
スマホを盗まれて、画面を開く数字(パスコード)まで知られても、大事な設定を勝手に変えられないようにする機能です。 Appleが公式に用意している、無料の機能です。
どんなふうに守ってくれるの?
- 自宅など「いつもいる場所」から離れているとき、保存したパスワードやカードを使うには、顔(Face ID)か指紋(Touch ID)が必ず必要になります。数字のパスコードだけでは開けません。
- Appleアカウントのパスワードを変えるような大事な操作は、1時間待ってから、もう一度顔か指紋で確認しないとできません。そのあいだに、持ち主が止める時間ができます。
設定のしかた
- ホーム画面の灰色の歯車「設定」をタップ
- 「Face IDとパスコード」をタップ(古い機種は「Touch IDとパスコード」)
- 画面を開くときの数字(パスコード)を入れる
- 下のほうにある「盗難デバイスの保護」をタップ
- スイッチを押して緑色(オン)にする
うまくいかないとき
この機能を使うには、次の3つがオンになっている必要があります。
- Appleアカウントの「2ファクタ認証」
- 「探す」(iPhoneを探す)
- 位置情報サービスの中の「利用頻度の高い場所」
なお、新しいiOS(iOS 26.4以降)では、最初からオンになっていることがあります。すでに緑色なら、そのままでOKです。
やること② Googleの「2段階認証」をオンにする
パスワードを盗まれても、あなたのスマホがなければ入れないようにする設定です。 SBI証券もSMBC日興証券も、まずこれをやってくださいと呼びかけています。
たとえるなら、玄関のカギに加えて「合言葉」をもう1つつけるようなものです。泥棒がカギ(パスワード)を手に入れても、合言葉(あなたのスマホに届く確認)がなければ入れません。
設定のしかた(スマホの場合)
- 「Gmail」アプリか「Google」アプリを開く
- 右上の丸いアイコン(顔写真や頭文字)をタップ
- 「Googleアカウントを管理」をタップ
- 上のほうのメニューを横にずらして「セキュリティ」をタップ
- 「2段階認証プロセス」をタップ
- 画面の案内にそって進め、「オン」にする
すでに「オン」と出ていれば、そのままで大丈夫です。
ついでにやると安心:「セキュリティ診断」
同じ「セキュリティ」の画面に「セキュリティ診断」があります。押すと、危ないところを黄色や赤のマークで教えてくれます。案内どおりに直すだけでOKです。
「バックアップコード」は紙に書いて保管
2段階認証の画面で「バックアップコード」を作れます。スマホをなくしたときに使う非常用の番号です。紙に書いて、通帳と同じくらい大事な場所にしまいましょう。スマホのメモや写真には残さないでください。
やること③ 「もしもの時の連絡先」を確かめる
アカウントに入れなくなったとき、助けを呼ぶための電話番号とメールが、今のあなたのものか確かめます。 SBI証券が、確認をはっきり呼びかけている項目です。
昔の携帯電話の番号や、もう使っていないメールのままになっていると、困ったときに取り戻せません。反対に、知らない番号やメールが入っていたら、それは乗っ取りのサインです。
Googleの場合
- やること②と同じように「Googleアカウントを管理」→「セキュリティ」を開く
- 「Googleによる本人確認の方法」のところを見る
- 「再設定用の電話番号」と「再設定用のメールアドレス」が、今使っているものか確かめる
- 違っていたら、押して直す
iPhone(Apple)の場合
- 「設定」を開き、一番上の自分の名前をタップ
- 「サインインとセキュリティ」をタップ(機種により「パスワードとセキュリティ」)
- 「信頼できる電話番号」が、今の自分の番号か確かめる
やること④ 知らない機器を追い出す
あなたのアカウントに今つながっている「スマホ・パソコンの一覧」を見て、知らないものや使っていないものを外します。 SMBC日興証券が「定期的に確認して」と呼びかけている項目です。
たとえるなら、家の合いカギを持っている人のリストを見て、知らない人のカギを取り上げる作業です。
Googleの場合
- 「Googleアカウントを管理」→「セキュリティ」を開く
- 下のほうの「お使いのデバイス」→「すべてのデバイスを管理」をタップ
- 一覧を見る。知らない機器、古いスマホ、もう手放したパソコンがあればタップ
- 「ログアウト」を押す
iPhone(Apple)の場合
- 「設定」→ 一番上の自分の名前をタップ
- 下のほうに、同じアカウントを使っている機器の一覧が出ます
- 知らない機器や手放した機器をタップ
- 「アカウントから削除」を押す
やること⑤ メモのパスワードを消す・使い回さない
スマホのメモ帳に書いた証券口座や銀行のパスワードは、今日消しましょう。 証券会社は、アカウントに入られると「クラウドに保存されたメモ」まで悪用されるおそれがある、と注意しています。
メモ帳は、Google・Appleのアカウントとつながっています。カギ置き場に入られると、メモも全部読まれてしまうと考えてください。
チェックするところ
- メモアプリ(iPhoneの「メモ」、Google Keep など)
- 写真アプリ(パスワードを画面ごと撮った写真)
- 自分あてに送ったメールやLINE
見つけたら、消したうえで、そのサービスのパスワードを変えてください。メモが前から読まれていた可能性があるからです。
パスワードの3つのルール(SMBC日興証券の呼びかけより)
- 誕生日や電話番号は使わない(すぐ当てられます)
- 長めにする(英字・数字・記号をまぜて)
- 同じパスワードを使い回さない。とくにGoogle・Apple・メール・証券口座は、全部ちがうものに
だまされないための3つの約束
どんなに強いカギも、自分で扉を開けてしまうと入られます。 設定といっしょに、この3つを心にとめておいてください。
赤:しないこと 緑:かわりにすること
本物のGoogleや証券会社が、メールや電話で「パスワードを教えて」「今すぐこのボタンを押して」と急かすことはありません。急かされたら、まず疑う。これがいちばんの守りです。
もしもの時の連絡先
「おかしい」と思ったら、ひとりで悩まず、すぐに下のどこかへ連絡してください。 早いほど、被害を小さくできます。
| こんなとき | まず連絡するところ |
|---|---|
| 証券口座で、身に覚えのない売り買いやログインがあった | お使いの証券会社の電話窓口(公式サイトか、口座を作ったときの書類にある番号) |
| Googleアカウントに入られたかもしれない | Google公式の案内「ハッキングされたアカウントを保護する」 |
| Appleアカウントに入られたかもしれない | Apple公式の案内「Apple Accountの不正利用が疑われる場合」 |
| 設定のしかたがわからない | ご契約の携帯電話のお店(証券会社ではGoogle・Appleの設定は扱っていません) |
| お金をとられた、だまされた | 警察相談専用電話 #9110、または最寄りの警察署 |
| どこに相談すればいいかわからない | 消費者ホットライン 188(いやや) |
チェックシート
終わったものに印をつけましょう。 全部に印がついたら、今日の対策はおしまいです。
印は、今開いているスマホとブラウザーにだけ残ります。別のスマホやアプリで開くと、印は引き継がれません。使い方によっては、印が消えることもあります。
月に1回、このシートで見直すと安心です。カレンダーに「スマホの見直し」と書いておきましょう。
参考にした公式情報
この資料は、次の公式の発表と案内をもとに、やさしい言葉に直してまとめました(2026年10月28日時点)。
- SMBC日興証券「パスキー等を保存している『Apple Account』や『Google アカウント』の乗っ取り被害にご注意ください」(2026年10月6日、14日更新)
- SBI証券「GoogleやApple等のアカウント情報を窃取するフィッシング詐欺にご注意ください」(2026年10月2日)
- 金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引に関する注意喚起」
- Apple サポート「iPhoneの『盗難デバイスの保護』について」
- Apple サポート「Apple Accountの2ファクタ認証」
- Apple サポート「Apple Accountにサインインしているデバイスを確認する」
- Google アカウント ヘルプ「2段階認証プロセスを有効にする」
- Google アカウント ヘルプ「アカウントにアクセスしたデバイスを確認する」
画面の名前は、スマホの機種やバージョンによって少しちがうことがあります。